となり同士の樹と樹の共存については深い山のブナなどを見れば分かります。彼らは自分の立地に応じて思う存分伸びて共存しています。横で競合しても上に伸びれば共存出来ます。
では果樹ではどうでしょう。たとえばサクランボのパイプハウスは高さが約五メートルから六メートルだから高さを利しての共存は出来ません。横に広げるほかに方法はありません。ここ二十年来の果樹園地はすべて過密植といってもいいでしょう。
四本に一本から二本を根本から間伐する以外には品質の良い果実を収穫する方法はありません。過剰に植栽された密植園はさながら本尊のいないお寺の本堂のようです。闇を深くするろうそく木(ぼく)が道に迷って立ち並んでいます。